電力ひっ迫はなぜ起こっている?2022夏の節電はいつまで必要か?

2022年7月20日

 

電力需給ひっ迫警報2022年の夏は猛暑が予想されています。

 

6月下旬の電力ひっ迫は、

揚水発電や節電などの対応で何とか

乗り切れましたが、

夏本番は、これからです。

 

電力の安定供給に最低限必要な予備率3%は何とか確保できる見込みですが、余裕はほとんどない状況です。

 

なぜ、

今、

電力ひっ迫が

起こるのでしょうか?

 

電力不足の要因としては、火力発電所の老朽化による休廃止、原発の停止、再生可能エネルギーへの依存度の増大、そして、ウクライナ危機による世界的なLNG(液化天然ガス)供給不安などがあります。

 

この記事では、

2022年夏の電力ひっ迫は

なぜ起こるのか?

電力ひっ迫による節電は、

いつまで必要なのか?

 

などについて、わかりやすく説明します。

 

2022年夏の電力ひっ迫は、なぜ起こる?

電力の需要と供給のバランス

国内の発電は、

主に火力発電

頼っています。

 

2021年のisep(環境エネルギー政策研究所)のデータによると、国内の発電電力量の割合は、火力発電71.7%(LNG31.7%、石炭26.5%、石油2.5%、その他11%)、原子力発電5.9%再生可能エネルギー22.4%です。

 

また、再生可能エネルギーの内訳は、太陽光9.3%、水力7.8%、バイオマス4.1%、風力0.9%、地熱0.3%、です。

 

2022年の電力不足の

最大の原因は、

火力発電の減少です。

 

火力発電所は、

他の発電施設に比べて、

維持や運営に費用が多くかかります。

 

しかも、国内の多くの火力発電所は

老朽化しています。

 

例えば、東京電力管内では、

運転40年超の老朽火力と予備軍を

合わせると全体の4割にも上ります。

 

2016年4月1日以降、電気の小売業への参入が全面自由化されました。その影響で電力の取り引き価格が低迷し、採算の合わない火力発電事業から撤退する事業者が増えています。

 

火力発電の休廃止が急激に進んでいるのは、2016年4月の法改正で、発電所の休廃止が「許可制」から「届出制」に変わったことも理由にあります。発電業者が火力発電を止めたいと思えば、簡単に休廃業ができるようになったのです。

 

火力発電に代わって台頭してきているのが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用した発電です。

 

再生可能エネルギーによる発電は、自然現象を利用しているため、季節や天候などの影響をダイレクトに受けますので、何らかの方法でバックアップする必要があります。

 

これまで、このバックアップを担ってきたのが火力発電なのですが、設備の老朽化で維持費がかさみ、再稼働には時間もコストもかかることから、廃止に踏み切る火力発電所が増えています。

 

それに加えて、ウクライナ危機の影響で、世界的にLNGの供給量が減少してLNGの価格が高騰しています。

 

日本は、

LNGをほぼ輸入に

たよっています。

 

ロシアからのLNGの輸入は約9%ですが、先日のニュースでも取り上げられていたように、ほとんどが「サハリン2」(※)からの供給です。

 

(※)「サハリン2」とは、ロシア極東サハリンでの石油・天然ガス開発事業のことで、日本からは三井物産と三菱商事が出資しています。

 

主な供給先は、日本と韓国、中国です。

 

今後も、「サハリン2」からLNGの輸入を継続できるかどうかは、微妙な状況です。政府は、権益の維持を目指す方針を固めていますが、ロシア側の判断がどうなるのか、不透明な状況にあります。

 

では、

原子力発電は、

どうなのでしょうか?

 

東日本大震災の前には、54基の原発があり、国内の電力の30%前後を賄っていましたが、震災による福島第1原発の事故により状況は一変しました。

 

その後、2022年6月までに再稼働した原発は6発電所10基ありますが、現時点で稼働しているのは4基のみです。

原発の再稼働については大きな不安感もあって厳しい状況です。

 

電力余裕率はどのくらい?夏の節電はいつまで必要?

発電所と作業員

電力の安定供給に

最低限必要な電力予備率は、

3%と言われています。

 

電力の需要と供給のバランスが崩れて、電力需給がひっ迫すると、大規模停電(ブラックアウト)のリスクが高くなります。

 

大規模停電を未然に防ぐため、翌日の電力需給予測にて、予備率が3%を超え5%を切る場合は、「電力需給ひっ迫注意報」が発令され、3%を切ると、「電力需給ひっ迫警報」が発令されて、節電が呼びかけられます。

 

では、

各エリアの電力予備率の予測は

どのようになっている

のでしょうか?

 

資源エネルギー庁の予測では、国内各エリアの夏の高需要期の電力予備率は、次のようになっており、最も厳しいのが、7月の東北、東京、中部の三つのエリアです。

 

<7月の電力予備率>

北海道21.4%、

東北3.1%、

東京3.1%、

中部3.1%

北陸3.8%、関西3.8%、中国3.8%、

四国3.8%、九州3.8%、沖縄28.2%

 

<8月の電力予備率>

北海道12.5%、東北4.4%、

東京4.4%、中部4.4%、北陸4.4%、

関西4.4%、中国4.4%、四国4.4%、

九州4.4%、沖縄22.3%

 

2022年の夏は節電が必要!

何とか、最低限必要な3%は確保できる模様ですが、5%以下のエリアも多くあって、かなり厳しい状況にあると言えます。

 

この夏、電力ひっ迫対策として、火力発電会社「JERA」は、老朽化して休止中だった火力発電所2基を臨時で再稼働します。

これにより、東北、東京、中部の予備率は1%程度改善される見込みです。

 

9月になると、各エリア共、5.6%以上の予備率確保が見込まれていますが、LNG供給不安の問題も抱えているため、楽観はできません。

 

以上より、

7~8月は節電が必要です。

 

9月になると多少は余裕ができますが、節電の継続が望ましいでしょう。ただし、節電のやり過ぎで体調を壊してしまっては元も子もないので、くれぐれも、できる範囲で節電に協力するという姿勢が望ましいと思います。

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まとめ

家庭とコンセント

電力ひっ迫の要因は、火力発電所の老朽化により、採算の合わない火力発電所の休廃止が増加し、発電できる量が減少していることです。

 

東日本大震災以降、再生可能エネルギーによる発電は増えていますが、季節や天候などの影響を受けるため、安定供給の面で難があり、どうしてもバックアップが必要になります。

 

日本は、石油や石炭、LNGなどの燃料を輸入にたよっているため、燃料確保は世界のエネルギー情勢に大きく左右されます。

 

今後、アンモニア火力発電などの新技術の導入が進めば、電力事情も改善されていくと思いますが、すぐに対応できるわけではありません。

 

当面は、電力会社による臨時対策と、消費者の節電に期待せざるをえないのかもしれません。

 

電力会社では節電キャンペーンなどを実施していますので、無理をしないで、できる範囲で節電に協力していきましょう!

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