2年連続で年金減額!物価高なのに減額される理由は?いつまで続くの?

 

年金減額イメージのイラスト公共料金の値上げに

食料品や日常品の

値上げが相次いでいます。

 

そんな物価高騰の中、

2022年4月分より年金が減額されました。

 

年金の減額は、

昨年に続いて2年連続となります。

 

物価高にもかかわらず、

何故、年金は減額

されるのでしょうか?

 

その理由は、

2016年に年金改革法が成立し、

2021年度より、年金額の改定ルールが

変更されたことによります。

 

この記事では、

物価高の中、何故、

年金が減額されるのか、

その理由を探って、

わかりやすく説明します。

 

 

2022年度の年金は、いくら減額される?

年金支給日は偶数月の15日2022年度の年金初回分が

6月15日に支給されました。

 

今回の年金支給は4月および5月分ですが、

あらためて、年金が減っていることを

実感された方も多いのではないでしょうか。

 

今年2022年度の年金は、国民年金および厚生年金とも、基本的に、昨年度の年金支給額に対して、-0.4%(減少)となります。

 

実際、どの位の減額になったのか、新規裁定者(67歳以下)

の年金額を例にとると、次のようになります。

 

(1)国民年金の場合(新規裁定者)

昨年2021年度の国民年金額は、満額の場合、月額65,075円でしたが、2022年4月分からは、-0.4%(259円の減額)となって、月額64,816円になります。

 

(2)厚生年金の場合(新規裁定者)

昨年2021年度の厚生年金額(夫婦二人分の標準的な年金額)は、月額220,496円でしたが、2022年4月分からは、-0.4%(903円の減額)となり、月額219,593円になります。

 

尚、「夫婦二人分の標準的な年金額」とは、賞与を含む平均的な収入が月額に換算して43.9万円で、40年間就業した場合に受け取り始めることができる夫婦二人分の年金給付水準を言います。

 

これは、

夫が会社員で妻が専業主婦の

ケースを想定しています。

年金額は、ひとりひとり異なりますが、基本的に、昨年度支給された年金額の0.4%に相当する分が減額されることになります。

 

物価高なのに年金が減額される理由は?

年金手帳と通帳最近の値上げラッシュを考えると、

何故、

この時期に年金が減額されるのか

不思議に感じるかもしれませんが、

これは、

2016年に「年金改革法」が成立した

ことが発端になります。

 

2016年に成立した「年金改革法」では、

賃金の低下に合わせた年金額の見直しが

なされることになりました。

 

賃金の低下が物価を下回る場合は、賃金の低下に合わせて年金額を改定するようにルールが変更され、この改定は5年後の2021年度から施工されています。

 

<2022年度の年金支給額の改定>

年金額は、名目手取り賃金変動率(※)がマイナスで、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年金を支給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに、名目手取り賃金変動率を用いるルールになっています。

このため、2022年度の年金額は、新規裁定者(67歳以下)および既裁定者(68歳以上)ともに、名目手取り賃金変動率を用いて改定されました。

名目手取り変動率とは、前年(2021年度)の物価変動率に2年度前から4年度前(2018~2020年度)までの3年度平均の実質賃金変動率と可処分所得割合変化率を乗じたものです。

 

2022年度の年金額を決める指標である名目手取り賃金変動率は、

「-0.4%」で、2021年度の物価変動率は、「-0.2%」です。

 

年金改革法では、賃金変動率と物価変動率の両方マイナスの場合は、より低い方(マイナスの大きい方)に合わせるルールになっているため、より低い方の「-0.4%」が年金支給額に反映されました。

 

尚、年金額の改定には、マクロ経済スライド調整率という指標もありますが、賃金や物価による改定率がマイナスとなった場合は、マクロ経済スライドによる調整は行わないことになっています。

2022年度の場合、マクロ経済スライドによる未調整分は、「-0.3%」ですが、この分は翌年度以降に繰り越しされます。

 

という事は、

2023年も年金減額が?

 

 

ちなみに、厚生労働省によれば、この年金改革法は、「少子高齢化が進む中で、制度の持続可能性を高め、将来世代の年金水準の確保を図ることによって、将来的にも安心な年金制度を構築するもの」と説明されています。

 

<(参考)2021年度の年金支給額の改定>

参考までに、昨年2021年度の場合は、物価変動率が、「0.0%」、名目手取り賃金変動率は、「-0.1%」で、名目手取り賃金変動率がマイナスで、物価変動率を下回っているため、年金額は名目手取り賃金変動率を用いて、減額率は、「-0.1%」になっています。

 

また、マクロ経済スライド調整率は、「-0.1%」でしたが、賃金や物価による改定率がマイナスであったため、翌年度以降に繰り越しとなり、2021年度も未調整でした。

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まとめ

年金の話で談笑するシニア夫婦2022年度の年金は、

昨年度に比べ、

-0.4%の減額となりました。

この理由としては、年金改革法により、

賃金の低下が物価を下回った場合、

賃金の低下に合わせて

年金額を改定するように

規定されているためです。

 

年金問題については、国会でもたびたび議論されていますが、年金の減額は、高齢者だけの問題ではありません。現役世代の方にとっても、将来、受給できる年金額が減少することにも繋がります。

今のところ、年金問題の特効薬はありませんが、老後のことを、よく考え、よく話し合うことが大切であろうと思います。