電気料金の上限は撤廃できる?値上げ上限に到達したらどうなる?
先日、東京電力と中部電力が
2022年9月の電気料金の値上げを
発表しましたが、これにより、
大手電力会社10社のうち9社は、
値上げ上限に到達しました。
電気料金には、
大きく分けて
規制料金プランと
自由料金プランの
2つがあります。
2016年4月1日以降は、
電気の小売業への参入が
全面自由化され、消費者が
電力会社や料金メニューを
自由に選べるようになりました。
ただし、消費者保護の観点から
料金規制経過措置がとられていて、
規制料金プランでは、
値上げの上限が決められています。
この記事では、
主に規制料金プランにおける
電気料金の構成や値上げ上限、
そして、上限に到達したら
撤廃できるのか、などについて、
わかりやすく説明します。
電気料金の値上げ上限はいくら?
電気料金は、
一般的に次の4つの要素で
構成されています。
<電気料金の内訳>
①基本料金
・・・電気の使用量を問わず毎月かかる料金です。
②電力量料金(従量料金)
・・・電気の使用量に対してかかる料金で、多くの電気料金プランでは、単価は3段階で設定されています。
③燃料費調整額
・・・毎月変動し、燃料コストが上がればプラスに、下がればマイナスになります。単価は電力会社が独自で設定しますが、多くの新電力では、その地域の大手電力会社と同額にしているようです。
燃料費調整額は、
次の式で計算されます。
【燃料費調整額】=
燃料費調整単価×使用電力量(kWh)
燃料費調整単価は、3ヶ月の平均燃料価格に基づいて決定され、2ヶ月後の電気料金に反映されることになっています。
例えば、4月~6月の燃料価格が7月に公表されて、9月の電気料金に反映されます。
④再生可能エネルギー発電促進賦課金
・・・毎年度、経済産業大臣によって定められており、電力会社に関わらず、全国一律です。
(1)規制料金プラン
規制料金プランでは、経済産業省に申請して認可がおりた価格の1.5倍が値上げの上限となっています。
燃料費調整額は、電力会社が購入している燃料の価格と連動していて、ウクライナ情勢や円安の影響により燃料価格が高騰すれば、燃料費調整額が高くなります。
(2)自由料金プラン
自由料金プランとは、2016年に電力が自由化されて、電力会社や料金プランを自由に選べるようになった後にできた料金プランです。
自由料金プランでは電気を安く買える場合もありますが、反面、燃料費が高騰した時などは、値上げ上限が元々ないか、あっても電力会社が自由に上限を撤廃できるため、規制料金プランよりも高い料金になることもあります。
電気料金の値上げ上限に到達したら撤廃できる?
大手電力会社の2022年9月の電気料金は、10社のうち9社は、規制料金プランでの値上げ上限である認可価格の1.5倍に達しています。上限に達していないのは中部電力だけです。
これは、燃料費の高騰分を電気料金に反映したためですが、上限を超える分の差額は、電力会社の負担となります。
規制料金プランは、消費者の負担を軽減するための経過措置なので、値上げ上限に到達しても、電力会社が勝手に上限を撤廃することはできません。 、
【参考】大手電力会社の9月電気料金(北から順)
①北海道電力:
8,862円(上限到達),
従量電灯B・30A,230kWh
②東北電力:
8,565円(上限到達),
従量電灯B・30A,260kWh
③東京電力:
9,126円(上限到達),
従量電灯B・30A,260kWh
④中部電力:
9,111円(残り78円で上限),
従量電灯B・30A,260kWh
⑤北陸電力:
6,402円(上限到達),
従量電灯B・30A,230kWh
⑥関西電力:
7,497円(上限到達),
従量電灯A・30A,260kWh
⑦中国電力:
8,029円(上限到達),
従量電灯A・30A,260kWh
⑧四国電力:
7,915円(上限到達),
従量電灯A・30A,260kWh
⑨九州電力:
7,276円(上限到達),
従量電灯B・30A,250kWh
⑩沖縄電力:
8,847円(上限到達),
従量電灯,260kWh
では、上限に到達すると、これ以上は電気料金は値上げされないのでしょうか?実はそうとも言えません。電力会社が今より高い金額を経済産業省に申請して認可されれば、その認可された金額の1.5倍まで値上げをすることができるのです。
今のところ、電力会社が申請するのか、申請したとしても経済産業省が認可するのか、わかりませんが、今後も燃料費の高騰が継続するようであれば、申請に踏み切る可能性が考えられます。
尚、自由料金プランにおいては、上限の設定が元々ないか、あったとしても、認可不要で上限を撤廃することができます。
また、今年の冬は夏よりも電力がひっ迫すると予測されています。
当面は、老朽化した火力発電の再稼働などで急場を凌がざるを得ないとは思いますが、夏以上に節電の協力が必要になりそうな気配です。
まとめ
大手電力会社10社のうち9社は、電気料金の値上げ上限に到達しています。上限を超えた差額分については、電力会社が負担することになります。
ただし、電力会社が今よりも高い金額を経済産業省に申請して認可されれば、その金額の1.5倍まで値上げすることができるようになりますので、安心できません。
今年の冬は、夏よりも電力がひっ迫すると予測されています。
今後、ウクライナ情勢や円安の進行状況によっては、燃料費の高騰によるさらなる電気料金の値上げも考えられます。
何れにしましても、できる範囲で節電に協力して、夏も冬も乗り切りましょう!
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